「色のシミュレータ」のオープンソース化と「色のシミュレータ Android Version 3.0」リリースのお知らせ


色覚支援ツール「色のめがね」と「色のシミュレータ」が世にリリースされて早くも8年になります。その間、世間では色覚多様性に対する理解が進み、少数型色覚の人が普段の生活を営む上で不便を感じるシチュエーションも徐々に減りつつあります。今日はこの8年間における私の研究活動の中でも大きなマイルストーンになるであろう重大な発表を行います。

「色のシミュレータ」は、世界100カ国以上で47万人以上が使用し、アメリカやドイツなどの国では学校教育においても利用されているメジャーなアプリケーションになりました。しかしながら、色彩理論の難解さ故でしょうか?アプリ公開から8年が経過した現在においてもこのアプリの性能と科学的正確さを併せ持つライバルアプリはほとんど登場していません。

普段から色のことで不便を感じている多くの人に役に立つであろうこの技術を、もっと多くの人に自由に使ってもらいたい。そんな想いから、「色のシミュレータ」の全ソースコードをオープンソースとして公開する決断をしました。

公開にあたって、誰にも迷惑をかけずに合法的にそれを行うために、これまでのアプリのソースコードを破棄して、最新のAndroid機器とOSに合わせて一から全てのコードを書き直す作業を行いました。そしてとうとう完成したのが、「色のシミュレータ Android Version 3.0」です。

このバージョンの「色のシミュレータ」のソースコードは、MITランセンスで公開され、そのライセンス規約を遵守する限り、実質的にほとんど制約なく自由に再利用することができます。つまり、今後は誰もが自由に自分の作るソフトウェアやアプリケーションに色覚シミュレーション機能を追加することができるようになるのです。

本バージョンの開発にあたって、多くの時間と労力を使ってお手伝いいただいた盟友の鵜川 裕文さん、松田 雅孝さん、そしてテストに協力してくださった全ての友人に感謝申し上げます。

2018/08/11 独立研究者 浅田一憲